武庫川なーさんとの1コマ「電車さん」

3歳になる娘(なーさん)と僕は、決まって電車に挨拶をする。乗り物に挨拶をする子どもの純粋さに一人で心を打たれた話。
武庫川マルタン 2021.11.14
誰でも

我が家の近くを走る電車。近くと言っても音がうるさいほどではなく、静かな時に窓を開けていれば音が聞こえる程度の距離だ。

都会とでもいうべきなのか、朝早くから夜遅くまで電車は走る。仕事で家にいることも少なくて、最近まであまり意識をしたことがなかったこの電車の音も、子どもと暮らし出してからというもののとても意識をするようになった。

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3歳になる娘(なーさん)は電車が大好きだ。保育園の送り迎えの時も、電車の音が鳴るとすぐに反応する。

「電車さんだ!ばいばーい!」

「電車さん、行ってらっしゃい!」

どこにいても、線路を向いて電車さんに挨拶をする。背の低い娘は歩いていると電車が見えない。それでも見えるところまで駆け出してまで挨拶をする。

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なぜこんなことになったのか。それは僕が電車さんに挨拶しようと言ったから。朝外に出るのを楽しんでもらえれば、誰にでも挨拶をできればと思って始めたこと。

今では当たり前のように電車さんに挨拶をする。電車さんと会えたら娘はとても楽しそうにしている。一緒に電車さんに挨拶をして、一緒に「電車さんいたねー」と会話を交わす。それ以上もそれ以下もないただの挨拶という行為がとても新鮮に感じる。

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娘のおかげで電車の音に敏感になった。でも、今までと違うことは、その音に対して声を出すことができること。プラスでもマイナスでもない電車の音に対する感情がプラスに作用したこと。

子供が大きくなるにつれ、このプラスは徐々にゼロに戻っていくのだろう。それでもゼロにまで下がることはなく、0.01でもプラスのまま人生を歩めるような気がしている。

今日も電車が走り出す朝。少しだけ外に出るのが楽しくなる電車の音。

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